2024年 02月 04日
2024年版・DAW-MIDIデータ転送について |
YAMAHAシーケンスソフト(DAW)のSOL2と、WindowsXP32bitと、QY70とをUX16で接続してSMFデータ製作を行っています。
マスタリングした音声素材は、Windows10 x64にUSBメモリで移した後にClip ChampやOpenShotなどで動画編集やアップロード作業を行っています。
少々長いですが、64bitパソコンを用いた音楽製作時代になり、MIDIを用いた通信について改めて気になった点がいくつかありましたのでまとめて置きます。
1.VSTプラグインを用いた作業と、マルチ音源を用いた作業の違い。
MIDIメッセージの転送レートの違いがネックになる点に気をつけます。
VST上でDAWを用いた作業を行う場合には、アプリケーション内部における仮想MIDIケーブルを用いた通信を行いますが、これは非常に高速なMIDIメッセージのやりとりを行う事ができます。当然ながらバッファエラーが起きにくく、複数コードを用いた演奏も自由にできます。
さらにVSTプラグインを追加して、同じMIDIマルチ音源を複数台追加する異もできます。よって、最大同時発音数はコンピューターの処理速度に依存しており、無限に拡張する事もできるようになっています。
実機と違い、例えばエレピセブンスコードにパッドレイヤーと重ね、多重レイヤーとして重ねたとしてもVSTプラグイン音源を追加する事ができるため何重にも重ねて発音可能です。
ヤマハの仮想音源の定番はS-YXG50です。このマルチ音源の最大同時発音数は128音ですが、これは1台の最大発音数です。3台追加すれば384音出せ、恐らく上記の様な多重レイヤーを用いてノートデータの同時転送を行ったとしても、かなりのデータを同時に発音しても支障がないと思われます。
一方、現実世界でのMIDIデータ転送は、デバイス内部でフォトカプラを用いた信号送受信、或いはケーブルでの転送損失といったロスタイムが含まれますから、AMEI(電子音楽事業協会)では3ms以上、5msを推奨と制定されています。
また複数のランニングステータスメッセージの同時転送はMIDI規格の性質上、禁止とされています。(転送できるものの、上記物理的ロスが生じてしまうために一部のみしか受信する事はできなくなり演奏表現に支障をきたしてしまう。)
DAW側では、トラブル防止のために念の為5ms以上、マージンタイムを確保してランニングステータスメッセージを送信するようにします。特にMIDI規格が制定されたばかりの古い音楽機材を経由すると外気温や湿度の影響を受けることが予想され、遅延が生じてしまうだけではなく発音時に深刻な影響を与えることも考えられます。
2.PCM録音データの違いによる、ミックスダウン感覚の変化。
ヤマハのマルチ音源MU50の時と、MU100の時、MU2000の時、MOTIF搭載のXG音源シミュレータとで比較するとわかりますが、同じXG規格で同じSMFデータを再生したとしても、フォノアウトから出力されるステレオ音声信号は異なります。
MU50とMU80とのピアノ音色だけ聞いていれば、ほとんど違和感なく互換性が保たれています。ただMU100とではサンプリングされた音色セットが異なっているため。ピアノ音色のみ聞いても全く聞いた感じが異なるものになります。さらにボリューム部に採用されているアンプICやボリュームの可変抵抗部品の影響、端子、回路も異なっています。
ですので、互換性はあるが出音は全く異なるという部分に留意しておきます。
3.XG音源用システムエクスクルーシブと、XG Lite用システムエクスクルーシブの違い。
RolandではSMFデータ再生に互換性を持たせるためにXG Liteフォーマット規格が制定されています。
Rolandのマルチ音源音色セットを用いて、XG音源用システムエクスクルーシブメッセージが記録されているSMFデータを再生することはできる便利な規格です。
注意部分として、若干使い勝手が異なる部分があります。例えば、…
「11chでリズムトラックを設定したい場合に、ピアノ以外の異なる音色を設定するためのシステムエクスクルーシブメッセージを受信させる」といった作業が求められた場合です。
YAMAHAのマルチ音源に搭載されているXGフォーマット規格では、このメッセージを受信すると、11chにリズムトラックを設定する事ができます。
しかしEDIROLのSD-20では、ピアノでリズムトラックが再生される事になります。それ以外はほぼ同等の音色で設定されますが、特にシステムエクスクルーシブの扱いにおいてはあまり複雑なメッセージはSMF作成時に盛り込まず、GM互換のメッセージで送受信するようにしましょう。
上記ケースのように、複雑なシステムエクスクルーシブメッセージをRolandやKORGで受信する事は稀だと思いますが、複雑な音楽表現にこだわる場合は念の為注意が必要です。また、GS規格のデータをGS Liteで表現する場合も似たようなトラブルが生じると思われます。
理想的には極力AI計算によるシステムエクスクルーシブメッセージを作成せず、GM規格で制定されているプログラムチェンジやコントロールチェンジ、MSB、LSBで音色管理を行うようにしておきます。
近年、MIDI規格を採用した楽器だけではなく、コンピューターのインターフェイスもMIDI規格登場当初からは見違える程の高速転送が可能となる時代が到来しています。製作は大規模化、高機能多機能化しており、音色作成にAI技術も取り入れられる事でより高度な表現ができるハイレゾ音源のリリースが可能です。MIDIインターフェイスのアプリケーションアルゴリズムを変化させてバーチャルスタジオを配線する、仮想システムもより高度化多機能化複雑化すると思われます。
現代に適応させた形でMIDIスタジオを構成するために、まずは基本となるGeneral MIDI1,0規格書の内容をあらためて踏まえておきたいと思いました。
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by tobiuo_feiyu
| 2024-02-04 21:54
| 音楽